人件費・採用
正社員で雇うか、業務委託に出すか。年間コストはどちらが安い?
同じ仕事を「正社員を採用して任せる」場合と「業務委託に出す」場合で、会社が1年間に負担する金額はどれだけ違うのか。社会保険の会社負担・賞与・採用費と、委託料・消費税(インボイスの経過措置)まで含めて比較し、どちらが得かが切り替わる委託料の水準を計算します。
無料・登録不要/2026-08-12 時点の公的データで計算
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計算方法の概要
- 正社員の年間コスト = 給与・賞与・手当 + 会社負担の社会保険・労働保険 + 初年度採用費 + 教育・備品等
- 業務委託の年間コスト = 委託料 + 自社が負担する消費税 + 発注・管理コスト + 初期コスト
- 給与は消費税の対象外(不課税)ですが、業務委託料は課税仕入れになります。自社が本則課税でインボイスを受け取れる場合、支払った消費税は仕入税額控除ができるため実質コストになりません。
- 委託先が免税事業者の場合は経過措置により控除できる割合が決まっており、控除できない部分が自社の負担になります。
- 自社が簡易課税または免税事業者の場合、支払った消費税額は納税額の計算に影響しないため、支払った消費税がそのままコストになります。給与には消費税がかからないため、正社員と比べたときの差として現れます。
- 損益分岐委託料 = 業務委託の年間コストが正社員の年間コストと等しくなる月額委託料
計算の前提条件
- 正社員側は協会けんぽ加入の一般的な事業所を前提としています。健康保険組合の場合は料率が異なります。
- 賞与は年2回(夏・冬)に等分して支給される前提で標準賞与額を計算しています。
- 業務委託料は税抜金額で入力してください。消費税は自社の課税方式に応じて別途計算します。
- 業務委託側の「発注・管理コスト」は、指示や検収にかかる自社側の工数を金額換算したものです。実態に合わせて調整してください。
- 退職金・法定外福利費(住宅手当・健康診断等)・オフィス費用は含んでいません。これらは正社員側で追加的に発生することが一般的です。
- 個人へ支払う報酬の源泉徴収は、受注者の所得税の前払いであり発注者の追加コストにはならないため、計算に含めていません。
- 昇給・料率改定・残業代は基本の計算には含んでいません(詳細分析で昇給率を指定した複数年比較ができます)。
- 消費税は、課税売上割合95%以上かつ課税売上高5億円以下で全額控除できる場合を前提としています。個別対応方式などによる按分が必要な場合は結果が異なります。
- 免税事業者への年間支払額が税込1億円を超える場合、超過部分には経過措置を適用できません(令和8年10月1日以後に開始する課税期間)。大口の委託では別途ご確認ください。
- 経過措置の控除割合は「課税仕入れを行った日(役務の提供が完了した日)」で判定されます。支払日ではありません。
使用料率・出典
- 消費税率標準税率 10%適用開始日: 2019-10-01/最終確認日: 2026-08-12標準税率10%(消費税7.8%+地方消費税2.2%)。業務委託などの役務提供は原則すべて標準税率。
- 免税事業者等からの仕入れに係る経過措置2023-10〜 80% / 2026-10〜 70% / 2028-10〜 50% / 2030-10〜 30%適用開始日: 2023-10-01/最終確認日: 2026-08-12令和8年度税制改正で適用期限が2年延長され、控除割合が8割→7割→5割→3割へ段階的に縮小。2031年10月1日以降は控除不可。判定は課税仕入れを行った日(役務完了日)による。
- 健康保険料率(協会けんぽ・都道府県単位)都道府県別(労使折半)適用開始日: 2026-03-01/最終確認日: 2026-08-12労使折半。令和8年3月分(2026年4月納付分)から適用。任意継続被保険者は令和8年4月分から。
- 介護保険料率(40〜64歳)1.62%(労使折半)適用開始日: 2026-03-01/最終確認日: 2026-08-1240〜64歳(介護保険第2号被保険者)に上乗せ。全国一律・労使折半。令和7年度1.59%から引き上げ。
- 厚生年金保険料率18.3%(労使折半)適用開始日: 2017-09-01/最終確認日: 2026-08-12平成29年9月以降18.3%で固定。労使折半(各9.15%)。
- 子ども・子育て拠出金率0.36%(事業主全額負担)適用開始日: 2020-04-01/最終確認日: 2026-08-12事業主が全額負担。厚生年金の標準報酬月額・標準賞与額(月150万円上限)に対して課される。令和8年度も0.36%で据え置き。
- 子ども・子育て支援金率0.23%(労使折半)適用開始日: 2026-04-01/最終確認日: 2026-08-12令和8年4月分から新設。医療保険料と併せて徴収され、健康保険と同じ標準報酬ベース(賞与は年度累計573万円上限)・労使折半。
- 雇用保険料率一般の事業 事業主0.85%適用開始日: 2026-04-01/最終確認日: 2026-08-12賃金総額(給与+手当+賞与)に対して適用。一般の事業: 合計1.35%(労働者0.5%/事業主0.85%)。建設の事業: 合計1.65%(労働者0.6%/事業主1.05%)。令和7年度から引き下げ。
- 労災保険率業種別(事業主全額負担)適用開始日: 2024-04-01/最終確認日: 2026-08-12事業主が全額負担。業種の当てはめは代表区分による概算。石綿救済法の一般拠出金(0.002%)は含まない。
- 年次有給休暇の付与日数勤続6か月で10日〜6年6か月以降20日適用開始日: 1947-09-01/最終確認日: 2026-08-12雇入れの日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に付与。週30時間未満かつ週4日以下の場合は比例付与となり本表は適用されない。
- 年5日の年次有給休暇取得義務年5日適用開始日: 2019-04-01/最終確認日: 2026-08-12法定付与日数が10日以上の労働者について、使用者は年5日を時季を定めて取得させる義務がある。労働者自らの請求・計画年休で取得した日数は控除される。
- 法人実効税率(税引後の差額の算定に使用)29.74%適用開始日: 2018-04-01/最終確認日: 2026-08-12地方税は標準税率、大法人向け事業税所得割を前提とした数値です。所得800万円以下の部分に軽減税率が適用される中小法人や、欠損法人では実際の負担率は下がります。あくまで目安としてご覧ください。
よくあるご質問
なぜ同じ金額を払っても、正社員の方がコストが高くなるのですか?
正社員には給与のほかに、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険などの会社負担分(給与等のおおよそ15〜16%)が発生するためです。さらに賞与や採用費、教育・備品費も加わります。一方、業務委託では原則としてこれらの社会保険料の会社負担は発生しません。
業務委託料に消費税がかかるのに、なぜコストに入らない場合があるのですか?
自社が消費税の本則課税で、委託先からインボイス(適格請求書)を受け取れる場合、支払った消費税は売上に係る消費税から差し引ける(仕入税額控除)ため、最終的な負担にはならないからです。ただし委託先が免税事業者の場合や、自社が簡易課税・免税事業者の場合は事情が異なり、支払った消費税の一部または全部が実質的なコストになります。
簡易課税を選んでいる場合、免税事業者に発注しても損はしないのでは?
「免税事業者に発注することによる追加の損」という意味ではそのとおりで、簡易課税では仕入先がインボイスを発行できるかどうかは納税額に影響しません。ただし本シミュレーターは「給与(消費税がかからない)」と「業務委託料(消費税がかかる)」を比べています。簡易課税では支払った消費税が戻ってこないため、正社員と比較した場合には消費税分がそのままコスト差として現れます。
「損益分岐委託料」とは何ですか?
業務委託にかかる年間コストが、正社員を雇った場合の年間コストとちょうど同じになる月額委託料のことです。実際の委託料がこれより低ければ業務委託の方が安く、高ければ正社員の方が安いという判断の目安になります。
コストだけで判断してよいのでしょうか?
いいえ。業務委託には指揮命令ができない、業務時間の指定に制約がある、ノウハウが社内に蓄積しにくい、契約終了のリスクがあるといった違いがあります。逆に正社員には解雇規制があり、業務量が減っても人件費を下げにくいという性質があります。本シミュレーターは判断材料の一つとしてお使いください。
契約書を「業務委託」にすれば社会保険料を節約できますか?
できません。契約の名称にかかわらず、実態として発注者の指揮命令のもとで働いている場合は労働者と判断され、社会保険の加入義務や労働基準法の適用が生じます。税務上も給与と認定されると、消費税の仕入税額控除が否認されたり源泉徴収漏れを指摘されたりするおそれがあります。
PDFレポートには何が含まれますか?
画面では年間コストの比較・損益分岐委託料・基本内訳をご覧いただけます。さらに詳細分析とPDFレポートでは、昇給を織り込んだ複数年の累積比較、インボイス経過措置による将来負担の推移、稼働日あたりの単価比較、委託料別の比較表、税引後の実質差額、契約時の確認事項、出典付きのPDFレポートを提供します。
ご利用上の注意
- 本シミュレーターの結果は概算です。実際の保険料は資格取得時の報酬月額の決定、定時決定、随時改定などにより変動します。
- 契約の名称が「業務委託」であっても、実態として指揮命令を受けて働いている場合は、労働者として扱われ社会保険の加入義務や労働法の適用が生じることがあります。また税務上も給与と判断される場合があります。
- 偽装請負に該当するかどうかの判断は、契約書の形式ではなく個別具体的な実態に基づいて行われます。本シミュレーターは判断を行うものではありません。
- 業務委託を選ぶ場合、フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)や下請法に基づく発注者の義務が生じることがあります。
- 正確な金額や個別の判断が必要な場合は、社会保険労務士・税理士などの専門家にご確認ください。