人件費・採用

正社員で雇うか、業務委託に出すか。年間コストはどちらが安い?

同じ仕事を「正社員を採用して任せる」場合と「業務委託に出す」場合で、会社が1年間に負担する金額はどれだけ違うのか。社会保険の会社負担・賞与・採用費と、委託料・消費税(インボイスの経過措置)まで含めて比較し、どちらが得かが切り替わる委託料の水準を計算します。

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計算方法の概要

  • 正社員の年間コスト = 給与・賞与・手当 + 会社負担の社会保険・労働保険 + 初年度採用費 + 教育・備品等
  • 業務委託の年間コスト = 委託料 + 自社が負担する消費税 + 発注・管理コスト + 初期コスト
  • 給与は消費税の対象外(不課税)ですが、業務委託料は課税仕入れになります。自社が本則課税でインボイスを受け取れる場合、支払った消費税は仕入税額控除ができるため実質コストになりません。
  • 委託先が免税事業者の場合は経過措置により控除できる割合が決まっており、控除できない部分が自社の負担になります。
  • 自社が簡易課税または免税事業者の場合、支払った消費税額は納税額の計算に影響しないため、支払った消費税がそのままコストになります。給与には消費税がかからないため、正社員と比べたときの差として現れます。
  • 損益分岐委託料 = 業務委託の年間コストが正社員の年間コストと等しくなる月額委託料

計算の前提条件

  • 正社員側は協会けんぽ加入の一般的な事業所を前提としています。健康保険組合の場合は料率が異なります。
  • 賞与は年2回(夏・冬)に等分して支給される前提で標準賞与額を計算しています。
  • 業務委託料は税抜金額で入力してください。消費税は自社の課税方式に応じて別途計算します。
  • 業務委託側の「発注・管理コスト」は、指示や検収にかかる自社側の工数を金額換算したものです。実態に合わせて調整してください。
  • 退職金・法定外福利費(住宅手当・健康診断等)・オフィス費用は含んでいません。これらは正社員側で追加的に発生することが一般的です。
  • 個人へ支払う報酬の源泉徴収は、受注者の所得税の前払いであり発注者の追加コストにはならないため、計算に含めていません。
  • 昇給・料率改定・残業代は基本の計算には含んでいません(詳細分析で昇給率を指定した複数年比較ができます)。
  • 消費税は、課税売上割合95%以上かつ課税売上高5億円以下で全額控除できる場合を前提としています。個別対応方式などによる按分が必要な場合は結果が異なります。
  • 免税事業者への年間支払額が税込1億円を超える場合、超過部分には経過措置を適用できません(令和8年10月1日以後に開始する課税期間)。大口の委託では別途ご確認ください。
  • 経過措置の控除割合は「課税仕入れを行った日(役務の提供が完了した日)」で判定されます。支払日ではありません。

使用料率・出典

よくあるご質問

なぜ同じ金額を払っても、正社員の方がコストが高くなるのですか?

正社員には給与のほかに、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険などの会社負担分(給与等のおおよそ15〜16%)が発生するためです。さらに賞与や採用費、教育・備品費も加わります。一方、業務委託では原則としてこれらの社会保険料の会社負担は発生しません。

業務委託料に消費税がかかるのに、なぜコストに入らない場合があるのですか?

自社が消費税の本則課税で、委託先からインボイス(適格請求書)を受け取れる場合、支払った消費税は売上に係る消費税から差し引ける(仕入税額控除)ため、最終的な負担にはならないからです。ただし委託先が免税事業者の場合や、自社が簡易課税・免税事業者の場合は事情が異なり、支払った消費税の一部または全部が実質的なコストになります。

簡易課税を選んでいる場合、免税事業者に発注しても損はしないのでは?

「免税事業者に発注することによる追加の損」という意味ではそのとおりで、簡易課税では仕入先がインボイスを発行できるかどうかは納税額に影響しません。ただし本シミュレーターは「給与(消費税がかからない)」と「業務委託料(消費税がかかる)」を比べています。簡易課税では支払った消費税が戻ってこないため、正社員と比較した場合には消費税分がそのままコスト差として現れます。

「損益分岐委託料」とは何ですか?

業務委託にかかる年間コストが、正社員を雇った場合の年間コストとちょうど同じになる月額委託料のことです。実際の委託料がこれより低ければ業務委託の方が安く、高ければ正社員の方が安いという判断の目安になります。

コストだけで判断してよいのでしょうか?

いいえ。業務委託には指揮命令ができない、業務時間の指定に制約がある、ノウハウが社内に蓄積しにくい、契約終了のリスクがあるといった違いがあります。逆に正社員には解雇規制があり、業務量が減っても人件費を下げにくいという性質があります。本シミュレーターは判断材料の一つとしてお使いください。

契約書を「業務委託」にすれば社会保険料を節約できますか?

できません。契約の名称にかかわらず、実態として発注者の指揮命令のもとで働いている場合は労働者と判断され、社会保険の加入義務や労働基準法の適用が生じます。税務上も給与と認定されると、消費税の仕入税額控除が否認されたり源泉徴収漏れを指摘されたりするおそれがあります。

PDFレポートには何が含まれますか?

画面では年間コストの比較・損益分岐委託料・基本内訳をご覧いただけます。さらに詳細分析とPDFレポートでは、昇給を織り込んだ複数年の累積比較、インボイス経過措置による将来負担の推移、稼働日あたりの単価比較、委託料別の比較表、税引後の実質差額、契約時の確認事項、出典付きのPDFレポートを提供します。

ご利用上の注意

  • 本シミュレーターの結果は概算です。実際の保険料は資格取得時の報酬月額の決定、定時決定、随時改定などにより変動します。
  • 契約の名称が「業務委託」であっても、実態として指揮命令を受けて働いている場合は、労働者として扱われ社会保険の加入義務や労働法の適用が生じることがあります。また税務上も給与と判断される場合があります。
  • 偽装請負に該当するかどうかの判断は、契約書の形式ではなく個別具体的な実態に基づいて行われます。本シミュレーターは判断を行うものではありません。
  • 業務委託を選ぶ場合、フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)や下請法に基づく発注者の義務が生じることがあります。
  • 正確な金額や個別の判断が必要な場合は、社会保険労務士・税理士などの専門家にご確認ください。