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広告費、いくらまでなら出していい? 損益分岐ROASと許容CPAの逆算
「ROASは300%以上を目指しましょう」とよく言われますが、その数字に公的な裏付けはありません。適正なROASは自社の限界利益率で決まり、粗利の厚い商材と薄い商材ではまったく違います。このシミュレーターは目安の数値を使わず、入力された自社の数字から「これを下回ると広告費が限界利益を食いつぶす」という一点だけを計算します。あわせて、多くの試算で見落とされる広告費の消費税が実質コストをいくら押し上げるかも示します。
無料・登録不要/2026-08-12 時点の公的データで計算
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計算方法の概要
- 1件あたりの限界利益 = 客単価 − 原価 − その他の変動費(決済手数料・送料・梱包費など)
- 限界利益率 = 1件あたりの限界利益 ÷ 客単価
- 損益分岐ROAS = 1 ÷ 限界利益率。限界利益率50%なら200%、25%なら400%になります。
- 目標利益を確保する必要ROAS =(1 + 目標利益 ÷ 広告費)÷ 限界利益率
- 許容CPA(単発購入の前提)= 1件あたりの限界利益
- 許容CPA(リピートを織り込む場合)= 1件あたりの限界利益 × 期間内の平均購入回数
- 目標利益を確保する場合の許容CPA = 累計限界利益 − 1件あたりの目標利益
- 実質の広告費 = 広告費(税抜)+ 消費税のうち仕入税額控除できない額
- 限界利益率が0以下の場合、広告をいくら投下しても回収できないため、損益分岐ROASを算定しません。
計算の前提条件
- 金額はすべて税抜で扱っています。広告費は課税仕入れであり、本則課税なら消費税は仕入税額控除で戻るため損益には残りません。税込で計算すると指標が約10%ずれます。
- 広告経由の月商は「客単価 × コンバージョン件数」として計算しています。広告経由の客単価がサイト全体と違う場合は、広告経由の値を入力してください。
- リピートは「一定期間内の平均購入回数」として扱っています。将来の購入は不確実であり、実際には解約・離脱が起きます。
- リピート購入にかかる追加の販促費(メール配信・クーポン原資など)は含めていません。含めると許容CPAはこの試算より下がります。
- CPA別シミュレーションでは、広告費を固定したままCPAが変われば獲得件数が変わるという前提で計算しています。実際にはCPAを下げると獲得できる件数の上限も下がることがあります。
- 広告制作費・運用代行費・人件費は含めていません。これらを含めると必要なROASは上がります。
- 国外プラットフォームへの広告費は、本則課税で課税売上割合95%以上、または簡易課税の場合を前提としています。課税売上割合が95%未満で本則課税の場合は扱いが変わります。
使用料率・出典
- ROAS・CPAへの公的な言及(定義は示されていない)用語としての言及のみ適用開始日: 2025-06-09/最終確認日: 2026-08-12本文で「広告費用対効果(Return on Advertising Spend:ROAS)」と併記し、CPC・CPAを成果指標の例として挙げていますが、計算式は定義していません。LTVは登場しません。
- 効果や優位性をうたうなら、根拠資料を先に用意する不当景品類及び不当表示防止法 第5条第1号・第2号、第7条第1項・第2項、第8条、第27条〜第29条、第48条適用開始日: 2024-10-01/最終確認日: 2026-08-12課徴金の割増算定率(4.5%)と直罰(100万円以下の罰金)、確約手続はいずれも令和6年10月1日施行です。
- インフルエンサーやアフィリエイトの費用を使うなら、責任は広告主にある不当景品類及び不当表示防止法 第5条第3号/「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年3月28日 内閣府告示第19号)適用開始日: 2023-10-01/最終確認日: 2026-08-12運用基準は令和5年3月28日消費者庁長官決定。2026年8月時点で改正はありません。
- 広告宣伝費に上限はないが、交際費等と判定されると制限がかかる法人税法 第22条第3項第2号/所得税法 第37条第1項/租税特別措置法 第61条の4/租税特別措置法関係通達 61の4(1)-9適用開始日: 2025-04-01/最終確認日: 2026-08-12年間契約の広告掲載料を一括前払いした場合の短期前払費用の特例(法人税基本通達2-2-14)は、特定の売上と直接対応する費用には適用できません。個別の判断は顧問税理士にご相談ください。
- 海外プラットフォームへの広告費は、消費税の扱いが国内と違う消費税法 第2条第1項第8号の4、第4条第1項、第5条第1項/平成27年法律第9号 附則第42条・第44条適用開始日: 2015-10-01/最終確認日: 2026-08-12消費者向け電気通信利用役務の提供については、登録国外事業者制度が令和5年9月30日で廃止されインボイス制度へ移行しています。
- 消費税率(実質広告費の算定に使用)10%適用開始日: 2019-10-01/最終確認日: 2026-08-12標準税率10%(消費税7.8%+地方消費税2.2%)。業務委託などの役務提供は原則すべて標準税率。
- 免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置80% → 70% → 50% → 30%適用開始日: 2023-10-01/最終確認日: 2026-08-12令和8年度税制改正で適用期限が2年延長され、控除割合が8割→7割→5割→3割へ段階的に縮小。2031年10月1日以降は控除不可。判定は課税仕入れを行った日(役務完了日)による。
- 経過措置の控除限度額の見直し1億円適用開始日: 2026-04-01/最終確認日: 2026-08-12一の適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れの合計額(税込)が、その年またはその事業年度で1億円(改正前は10億円)を超える場合、超えた部分には経過措置を適用できません。令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。
よくあるご質問
ROASはいくつを目指せばよいのですか?
業種共通の正解はありません。適正なROASは自社の限界利益率だけで決まります。限界利益率が50%なら損益分岐ROASは200%、25%なら400%です。粗利の薄い商材ほど高いROASが必要になります。なお「300%が目安」という数値は広く言われていますが、公的機関の資料には見当たりませんでした。他社の数字ではなく、自社の原価構造から逆算してください。
なぜ粗利率ではなく限界利益率を使うのですか?
広告費の回収に使えるのは、売上から「売上に比例して増える費用」をすべて引いた残りだからです。原価だけでなく、決済手数料・送料・梱包費も1件増えるごとにかかります。これらを引かずに粗利率で計算すると、損益分岐ROASを実際より低く見積もることになります。
リピートを見込んで許容CPAを上げてもよいのですか?
計算上は、期間内に平均2回買ってもらえるなら許容CPAは2倍になります。ただし将来の購入は不確実で、実際には離脱が起きます。またリピートを促すための販促費(メール配信・クーポン原資など)もかかりますが、この試算には含めていません。単発購入の前提とリピートを織り込んだ前提の両方を並べて示しているのは、この差を意識していただくためです。資金繰りの面でも、獲得コストは今月出ていき、リピートの入金は先になります。
広告費の消費税は考えなくてよいのではないですか?
自社が本則課税で、支払先が適格請求書発行事業者なら、支払った消費税は仕入税額控除で戻るため損益には残りません。この場合は考えなくて構いません。しかし簡易課税や免税事業者の場合は戻らないため、税込金額が実質コストになり、必要なROASが1割上がります。また個人のアフィリエイターやインフルエンサーなど免税事業者等へ支払う場合は、経過措置で控除できる分を除いた残りが自社負担になります。本シミュレーターはこの違いを実質広告費として計算します。
海外のプラットフォームに払う広告費はどうなりますか?
国外事業者が行う事業者向けのインターネット広告は、本来リバースチャージ方式の対象です。ただし当分の間、本則課税で課税売上割合が95%以上の課税期間、または簡易課税が適用される課税期間については「なかったもの」とされ、申告も仕入税額控除も生じません。つまり多くの事業者にとって、支払額がそのまま実質コストになります。課税売上割合が95%未満で本則課税の場合は扱いが変わるため、顧問税理士にご確認ください。
広告で効果や優位性をうたうときの注意はありますか?
実際より著しく優良・有利だと誤認させる表示は景品表示法違反です。消費者庁から表示の裏付けとなる合理的な根拠資料の提出を求められ、期間内に出せなければ、それだけで優良誤認表示とみなされます。「効果」「No.1」「業界最安」を打ち出すなら、資料を先に揃えてください。違反した場合は措置命令のほか、対象期間の売上額の3%(繰り返しは4.5%)の課徴金、さらに令和6年10月1日施行の改正で100万円以下の罰金の対象にもなります。
インフルエンサーやアフィリエイトを使う場合の注意は?
広告であることが分からない表示はステルスマーケティングとして景品表示法違反になります。重要なのは、規制の対象が投稿者ではなく広告主だという点です。費用を出した側が責任を負います。「広告」「PR」といった用語を明瞭に記載するか、提供を受けている旨を文章で明示してください。小さい文字や動画の一瞬だけの表示では不十分とされます。
PDFレポートには何が含まれますか?
画面では、限界利益率・損益分岐ROAS・許容CPA(単発とリピート込み)・現状の判定・目標利益に必要な水準・実質広告費をご覧いただけます。さらに詳細分析とPDFレポートでは、CPA別シミュレーション、リピート回数別の許容CPA、消費税の扱いによる実質広告費の比較、インボイス経過措置の期間別の負担増、景品表示法・ステルスマーケティング規制・広告宣伝費の税務上の注意、社内説明に使えるPDFレポートを提供します。
ご利用上の注意
- 本シミュレーターの結果は概算であり、税務上の取扱いを保証するものではありません。
- ROAS・CPA・LTVは広告実務で一般に使われる指標ですが、法令・告示・通達・省庁のガイドラインでこれらを定義したものは見当たりませんでした。総務省のガイダンスが用語として言及していますが、計算式は示されていません。「公的に定められた指標」ではない点にご留意ください。
- 「ROAS300%以上が目安」「CPAはLTVの3分の1以内」「広告費は売上の10%が適正」といった数値も、公的機関の資料には見当たりませんでした。民間の経験則です。本シミュレーターはこれらを使わず、自社の数字から一意に決まる損益分岐点だけを示しています。
- 「少額広告宣伝費」という公的な区分や金額基準は存在しません。金額基準が条文にあるのは、交際費等から除かれる1人当たり1万円以下の飲食費だけで、これは会議費等であって広告宣伝費ではありません。
- 消費税の取扱いは、課税売上割合や適格請求書の受領状況によって変わります。実際の処理にあたっては顧問税理士にご相談ください。