EC・販売

サブスクのLTVと顧客獲得コスト(CAC)は釣り合っているか

サブスクリプションの採算は、1顧客あたりの粗利と解約率、そして1件獲得するのにかかった費用の3つで決まります。このシミュレーターは、ARPU(顧客1人あたり月次売上)と月次チャーンレートからLTV(顧客生涯価値)を、獲得にかけた費用と新規顧客数からCAC(顧客獲得コスト)を計算し、両者の比とCACの回収期間を出します。LTVは粗利ベースで計算します。獲得コストと比べるべきなのは売上ではなく利益だからです。なお、LTV・CAC・チャーンレートについて日本の公的な定義や基準は見当たりませんでした。本シミュレーターは「LTV/CAC 3倍以上」といった通説を判定に用いず、数値そのものと、定義上必ず正しい線だけをお示しします。

無料・登録不要/2026-08-13 時点の公的データで計算

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計算方法の概要

  • ARPU = 月次売上高 ÷ 課金顧客数。年払いプランは年額を12で割って月次に直し、月額プランと合算します。
  • 月次チャーンレート = 当月の解約顧客数 ÷ 月初の顧客数(顧客数ベース)。収益ベースを選んだ場合は、当月に解約された金額 ÷ 月初のMRR で計算します。どちらで計算したかは結果に表示します。
  • 平均継続月数 = 1 ÷ 月次チャーンレート。毎月同じ割合で解約が起きるという前提を置いた場合の期待値です。チャーンが0だと発散するため、入力していただいた上限月数で丸めます。
  • LTV = ARPU × 粗利率 × 平均継続月数。粗利率は必須です。原価のあるサービスで100%とみなすとLTVを過大に見積もることになります。
  • CAC = 顧客獲得にかけた費用の総額 ÷ 新規獲得顧客数。新規獲得顧客数が0の場合は計算できません。
  • LTV/CAC = LTV ÷ CAC。CACが0の場合は計算できません。
  • CAC回収期間 = CAC ÷(ARPU × 粗利率)。1顧客あたりの獲得コストを、その顧客が生む月次の粗利で回収するのにかかる月数です。分母が0以下なら回収できません。
  • 純減しないために必要な月間新規獲得数 = 顧客数 × チャーンレート。これを下回ると顧客数は減っていきます。

計算の前提条件

  • 毎月同じ割合で解約が起きるという前提で計算しています。実際には契約からの経過月数によって解約率は変わり、初期ほど高くなる傾向があります。この試算は概算とお考えください。
  • 平均継続月数は入力していただいた上限で丸めます。上限は利用者の前提であり、公的な基準ではありません。実績のある事業であれば、実際のコホートの残存率から置くほうが実態に近くなります。
  • アップセル・ダウングレードによる単価の変動は含めていません。既存顧客の増額が解約分を上回る事業では、収益ベースのチャーンで測ったほうが実態に合います。
  • 将来のキャッシュフローの割引(現在価値への換算)は行っていません。継続月数が長いほどLTVは実質より大きめに出ます。
  • 月次推移のシミュレーションでは、チャーンレート・新規獲得数・ARPUがいずれも一定であるものとしています。
  • 消費税は含めていません。税抜で統一してください。
  • 全顧客をまとめた平均で計算しています。獲得チャネル別・プラン別に分けて計算すると、平均では見えない差が出ます。

使用料率・出典

よくあるご質問

LTVの計算方法は? 売上ベースと粗利ベースのどちらですか。

本シミュレーターは粗利ベースで計算します。式は「ARPU × 粗利率 × 平均継続月数」です。売上ベース(粗利率を掛けない)で計算する流儀もありますが、CACと比べるのは利益であって売上ではないため、粗利率を必須の入力にしています。たとえばARPU5,000円・粗利率80%・平均継続月数50か月なら、LTVは5,000×0.8×50=200,000円です。原価率の高いサービスで粗利率を100%とみなすと、LTVは実態の何倍にもなります。なお、この計算式自体に公的な定義はありません。民間の実務で広く使われている算式です。

チャーンレートは顧客数ベースと収益ベースのどちらで測るべきですか。

どちらにも理由があります。顧客数ベース(当月の解約顧客数 ÷ 月初の顧客数)は分かりやすく、単価が均一な事業に向きます。収益ベース(当月に解約された金額 ÷ 月初のMRR)は、高単価の顧客が抜けたときの影響が正しく出ます。単価に幅がある事業では、顧客数ベースだと小口の解約が多い月に実態より重く見え、大口が抜けた月に軽く見えます。重要なのは、どちらで測っているかを揃えて明示することです。本シミュレーターは選んだ測り方を結果画面とPDFの両方に表示します。なお、既存顧客のアップセルを差し引いた「ネットレベニューチャーン」で測る流儀もありますが、本シミュレーターは含めていません。

LTV/CACは3倍以上が健全と聞きましたが、何倍を目指せばよいですか。

「3倍以上」という数値に公的な裏付けはありません。日本の法令・通達・公的統計に、LTVやCACの定義や目標水準として示されているものを確認できませんでした。米国のSaaS実務で語られてきた経験則が日本語圏に紹介されたものです。したがって本シミュレーターは、この数値による判定を行いません。お示しするのは計算した数値そのものと、「LTV/CACが1を下回っている=1顧客あたりの獲得コストを回収できていない」という、定義上必ず正しい線だけです。何倍が適切かは、手元の資金でどれだけ回収を待てるか、競合の獲得単価がどう動いているか、成長を優先するか利益を優先するかによって変わります。目安を借りてくるより、自社の資金繰りから「何か月以内に回収できていれば続けられるか」を決めるほうが実務的です。

CACには、どこまでの費用を含めればよいですか。

広告費だけでなく、営業人件費・インサイドセールスの費用・獲得目的で使っているツールの費用まで含めるのが一般的です。含める範囲で数値は大きく変わります。広告費だけを分子に置けばCACは小さく出ますが、人手をかけて獲得している事業では実態と離れます。逆に、既存顧客のサポート費用まで入れるとCACではなくなります。正解は一つではないため、範囲を決めて、同じ基準で継続的に測ることが重要です。範囲を変えたときは、過去の数値も同じ基準で計算し直さないと推移が読めなくなります。

解約がまだ出ていない場合、LTVはどう計算しますか。

チャーンレートが0だと「1 ÷ チャーンレート」が発散し、平均継続月数が無限大になってLTVを計算できません。本シミュレーターは、平均継続月数の上限を入力していただき、その範囲で計算します。既定では60か月(5年)としていますが、これは公的な基準ではなく、利用者に置いていただく前提です。上限で丸めた場合は結果画面とPDFにその旨を表示します。立ち上げ直後で解約実績が少ないときは、少ない実績から出したチャーンレートも振れが大きいため、上限を短めに置いて堅く見るほうが安全です。

CAC回収期間はどう読めばよいですか。チャーンを下げれば短くなりますか。

CAC回収期間は「CAC ÷(ARPU × 粗利率)」です。式に継続月数が入っていないため、チャーンレートを下げても回収期間は1か月も短くなりません。短くなるのは、獲得コストを下げるか、単価か粗利率を上げたときだけです。一方でチャーンを下げるとLTVは伸びます。つまり、解約対策は「1顧客から取れる総額」を増やす打ち手であって、「投じた資金が戻ってくる速さ」を変える打ち手ではありません。手元資金が薄いときはCACと単価、長期の収益性を上げたいときはチャーンと、効かせたい場所で打ち手を選び分けることになります。詳細分析ではこの3つを同じ改善率で並べて比較します。

PDFレポートには何が含まれますか?

画面では、ARPU・月次チャーンレート・平均継続月数・LTV・CAC・LTV/CAC・CAC回収期間と、純減しないために必要な新規獲得数をご覧いただけます。さらに詳細分析とPDFレポートでは、チャーンレートを0.5%から10%まで振ったときのLTVの感応度表、獲得コスト・解約・単価の3つの打ち手を同じ率で改善した場合の比較、顧客数とMRRの月次推移シミュレーション、チャネル別・プラン別に分けて測ることの意味、社内説明や投資家向け資料に使えるPDFレポートを提供します。

ご利用上の注意

  • 本シミュレーターの結果は概算です。
  • LTV・CAC・チャーンレートについて、日本の法令・通達・公的統計に定義や基準として示されているものを確認できませんでした。「LTV/CAC 3倍以上が健全」「CAC回収12か月以内」「月次チャーン3%未満」といった数値は、米国のSaaS実務で語られてきた経験則が日本語圏に紹介されたもので、公的な裏付けはありません。
  • そのため本シミュレーターは、これらのしきい値による判定を行いません。判定するのは「LTV/CACが1を下回る=1顧客あたりの獲得コストを回収できていない」という、定義上必ず正しい線だけです。何倍を目指すかは、資金調達の状況・成長段階・競合環境によって変わるため、自社で決めていただく必要があります。
  • CACにどこまでの費用を含めるかで数値は大きく変わります。広告費だけを分子に置けばCACは小さく出ます。範囲を決めて、同じ基準で継続的に測ってください。
  • 平均継続月数を「1 ÷ チャーンレート」で求める方法は、解約率が一定であるという前提に依存します。立ち上げ間もない事業や、契約期間の縛りがあるプランでは実態から離れます。
  • 実際の投資判断にあたっては、顧問税理士や中小企業診断士にご相談ください。