資金繰り
その在庫、1年でいくら食っている? 滞留在庫の隠れコスト診断
倉庫に眠ったままの在庫は、仕入れた時点でお金を払い終えているので「もう費用は出ていない」と思われがちです。しかし実際には、保管費・在庫に寝ている資金の金利・時間とともに進む陳腐化が、毎月コストとして発生し続けています。その金額を試算し、値引販売・廃棄・保有継続のどれが最も損を小さくできるかを比較します。
無料・登録不要/2026-08-12 時点の公的データで計算
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計算方法の概要
- 年間の在庫保有コスト = 在庫金額 × 保有コスト率(資本コスト+保管費+陳腐化+保険・管理費)
- 保有コスト率は自社の実態に合わせて内訳を入力してください。「在庫金額の年20〜30%」という数値が広く使われていますが、日本の公的機関の資料に根拠を確認できなかったため、既定値を押し付けない設計にしています。
- 3つの選択肢は「今後のキャッシュフロー(税引後)」で比較します。すでに支払った仕入代金は、どの選択肢を選んでも戻ってこない埋没原価のため、比較には含めません。
- いま値引販売する = 回収額 + 売却損による税金の減少
- 廃棄する = 処分費用の支出 + 廃棄損と処分費用による税金の減少
- 保有を続ける = 期間中の保有コストを負担したうえで、期間後に想定回収率で売却
- 在庫回転期間 = 在庫金額 ÷ 月商
計算の前提条件
- 在庫金額は帳簿価額(原価ベース)で入力してください。売価ではありません。
- 保有コスト率は自社の実態に基づいて入力してください。倉庫が自社所有で空きスペースがある場合、保管費の追加負担は小さくなります。
- 税効果は入力された法人実効税率で概算しています。当期が赤字、または繰越欠損金がある場合、損失を計上しても税金は減らないため、税効果は働きません。
- 廃棄した場合の保管スペースが空く効果(他の商品を置ける、倉庫を縮小できる等)は金額に含めていません。実際にはこれが最大の効果になることもあります。
- 値引販売による既存顧客への影響(値崩れ・ブランド毀損)や、廃棄に伴う環境面の配慮は考慮していません。
- この試算は1つの在庫アイテム(またはひとまとまりの在庫)を対象としています。
使用料率・出典
- 在庫保有コストの構成要素費目の列挙のみ(比率の目安は示されていない)適用開始日: 2016-01-01/最終確認日: 2026-08-12在庫にかかる費目として、仕入代金・保管費用・減耗費用・金利・保険料・運搬費用・返品費用、および倉庫の賃借料・光熱費・保険料・固定資産税・人件費が挙げられています。ただし各費目の金額算定方法や、在庫金額に対する比率の目安は示されていません。
- 在庫そのものに固定資産税はかかりません地方税法341条4号(償却資産の定義)出典: e-Gov法令検索 地方税法適用開始日: 1950-07-31/最終確認日: 2026-08-12棚卸資産(商品・製品・原材料など)は減価償却を行わないため、償却資産としての固定資産税の対象になりません。保管費に含めるのは、自社所有の倉庫(家屋)や保管設備にかかる固定資産税です。
- 廃棄した場合法人税法22条3項1号・3号出典: e-Gov法令検索 法人税法適用開始日: 1965-03-31/最終確認日: 2026-08-12
- 棚卸資産回転日数の定義棚卸資産÷(売上高÷365)適用開始日: 2004-01-01/最終確認日: 2026-08-12棚卸資産÷(売上高÷365)。分母は売上原価ではなく売上高である点に注意。絶対的な目安は示されておらず、業種平均との相対比較で判断する設計です。
- 法人実効税率(税効果の算定に使用)29.74%適用開始日: 2018-04-01/最終確認日: 2026-08-12地方税は標準税率、大法人向け事業税所得割を前提とした数値です。所得800万円以下の部分に軽減税率が適用される中小法人や、欠損法人では実際の負担率は下がります。あくまで目安としてご覧ください。
よくあるご質問
仕入代金はもう払っているのに、なぜコストが発生し続けるのですか?
在庫を置いておくだけで、倉庫の賃料や光熱費、棚卸や管理の手間がかかります。また、在庫に化けている資金は本来なら借入の返済や別の投資に回せたはずのお金で、その機会費用も発生しています。さらに商品は時間とともに売れにくくなり、価値が目減りしていきます。これらを合計したものが在庫保有コストです。
なぜ仕入代金を計算に入れないのですか?
仕入代金は既に支払い済みで、どの選択肢を選んでも戻ってこないためです(埋没原価)。「せっかく100万円で仕入れたのだから」という気持ちは自然ですが、その100万円は既に失われており、これからの判断で取り戻すことはできません。判断の基準は「これからいくら回収でき、いくら出ていくか」だけです。
売れないので帳簿価額を下げたい(評価損を計上したい)のですが。
まず自社の棚卸資産の評価方法をご確認ください。低価法を届け出ていれば、期末の時価が原価を下回った分をそのまま期末評価額に反映できます。この場合は災害損傷や著しい陳腐化といった事実要件は不要です。一方、評価方法を届け出ていない場合の法定評価方法は最終仕入原価法(原価法)で、多くの中小企業がこれに該当します。原価法では、災害による著しい損傷・著しい陳腐化・破損や棚ざらし等により通常の方法で販売できなくなったといった限られた事実がなければ評価損を計上できません。なお評価方法の変更は事業年度開始の日の前日までに承認申請が必要で、期末になってから低価法に切り替えることはできません。
値引販売する相手は誰でもよいのですか?
第三者に対して市場で成立した価格で販売する限り、その価格が時価と評価されるのが通常で、問題は生じません。ただし役員・関係会社・同族関係者などに時価より著しく低い価額で譲渡した場合、その差額が寄附金と認定され、損金算入が制限されることがあります。身内に安く流す形での在庫処分をお考えの場合は、事前に顧問税理士にご相談ください。
廃棄すると税金が減るなら、廃棄した方が得なのでは?
税金が減るのは損失を計上した分だけで、減る金額は損失額に税率を掛けた分(実効税率30%なら損失の30%)です。残りの70%は自社の損失として残ります。また値引販売なら回収額そのものが手に入るため、多少でも売れるなら通常は値引販売の方が有利です。本シミュレーターは、回収率が何%を超えれば値引販売が廃棄を上回るかも計算します。
赤字の会社でも税効果は働きますか?
働きません。損失を計上しても、そもそも納める税金がなければ減る税金もないためです(繰越欠損金として将来に繰り越せる可能性はあります)。当期が赤字の場合は、法人実効税率の入力を0%にして試算してください。
PDFレポートには何が含まれますか?
画面では年間の保有コストと3つの選択肢の比較をご覧いただけます。さらに詳細分析とPDFレポートでは、保有期間別の損益、待つ価値がある期間の上限、回収率別の比較、現金化して借入返済に充てた場合の効果、月次の累積コスト推移、税務上の注意点、社内説明に使えるPDFレポートを提供します。
ご利用上の注意
- 本シミュレーターの結果は概算であり、税務上の取扱いを保証するものではありません。
- 在庫を持ち続けたまま帳簿価額を引き下げられるかどうかは、棚卸資産の評価方法によって変わります。低価法を届け出ていれば期末の時価まで評価を下げられますが、届出がない場合の法定評価方法は最終仕入原価法(原価法)であり、この場合は災害による著しい損傷や著しい陳腐化などの事実がなければ損金に算入できません。
- 一方、実際に値引販売した場合や廃棄した場合は損失が実現します。廃棄については、処分委託契約書・受領証・請求書などが法人税法施行規則の帳簿書類保存義務の対象になるため、税務調査で廃棄の事実を説明できるよう整えておくことをおすすめします。
- 実際の処理にあたっては、必ず顧問税理士にご相談ください。