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会社を売ったら手取りはいくら? 仲介手数料と税金を引いた実額

会社を売ったときに手元に残るのは、譲渡代金そのものではありません。仲介手数料を払い、譲渡益に20.315%の税金がかかります。このシミュレーターは、その両方を引いた実額を出します。仲介手数料は、中小M&Aガイドラインが挙げる3つの報酬基準額(譲渡額・移動総資産額・純資産額)すべてで並べて表示します。同じ報酬率でも基準の取り方で支払額が大きく変わる、というのがガイドラインが最も強調している点だからです。あわせて、役員退職金への配分を変えると手取り合計がどう動くかも比較できます。

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計算方法の概要

  • 譲渡益 = 譲渡代金 −(取得費 + 譲渡費用)
  • 取得費が不明な場合は、譲渡による収入金額の5%を取得価額として計算できます(措置法通達37の10・37の11共-13)。実際の取得費がわかっていればそちらが優先します。
  • 株式譲渡益の税 = 譲渡益 × 20.315%(所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%)。給与所得などと合算されない申告分離課税です。
  • 譲渡損が出た場合、他の所得との通算も翌年以降への繰越控除もできないため、税額は0として計算します(還付は生じません)。
  • 仲介手数料 = 報酬基準額を階層に分け、階層ごとの割合を掛けて合計する(レーマン方式)。階層計算の結果が最低手数料を下回る場合は最低手数料になります。
  • 報酬基準額は「譲渡額(譲受額)」「移動総資産額」「純資産額」の3通りで計算し、並べて表示します。
  • 退職所得控除 = 勤続20年以下は40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)、勤続20年超は800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20)。1年未満の端数は切り上げます。
  • 退職所得 = 一般退職手当等は(収入 − 控除)× 1/2、特定役員退職手当等(役員等勤続5年以下)は2分の1の適用なし、短期退職手当等は控除後300万円を超える部分に2分の1を適用しません。
  • 退職金の税 = 課税退職所得金額(1,000円未満切捨て)に所得税の超過累進税率を適用し、付加税2.1%と住民税10%を加えます。
  • 手取り合計 =(譲渡代金 − 仲介手数料 − その他の譲渡費用 − 譲渡益の税)+(退職金 − 退職金の税)
  • 譲渡額の目安(参考)= 時価純資産(または簿価純資産)+ 加算する利益 × 年数。赤字なら利益はマイナス、債務超過なら純資産はマイナスのまま計算します。赤字の場合、加算する年数を増やすほど目安額は下がります。

計算の前提条件

  • 第三者への株式譲渡(オーナー個人が保有株式を売却するケース)を前提にしています。発行会社への譲渡(自己株式の取得・金庫株)は、資本金等の額を超える部分がみなし配当となり総合課税・累進税率になるため、この計算では扱えません。
  • 株式は「一般株式等(非上場株式)」であることを前提にしています。上場株式等とは通算の取扱いが異なります。
  • 仲介手数料を譲渡費用に含めるかどうかは選択式にしています。譲渡に要した費用に該当するかは契約内容によって判断が分かれるため、顧問税理士にご確認ください。
  • 退職金の配分比較では、買い手が支払う総額(譲渡代金+退職金)を一定に保ち、配分だけを動かしています。仲介手数料は配分によらず一定として計算しています。
  • 退職金の損金算入によって法人税が減る効果は織り込んでいません。損金算入が認められる場合、実際の手取りの差は本試算より大きくなる可能性があります。
  • 所得税・住民税の端数処理は簡略化しています。実際の申告額・特別徴収額とは数百円程度の差が生じることがあります。
  • 株式譲渡の対価そのものに消費税はかかりません(有価証券の譲渡は非課税)。退職金にもかかりません。ただし仲介手数料・FA報酬は役務の提供にあたるため、標準税率10%の消費税がかかります。本試算では手取りから税込の手数料を差し引いています。
  • 手数料にかかった消費税を仕入税額控除できるかは、契約の当事者が誰か(法人か、株主個人か)と、その事業者の課税売上の状況によって変わります。株主個人が契約当事者となる場合、控除はできず税込額がそのまま負担になります。本試算は控除を織り込んでいません。
  • 譲渡代金の分割払い・アーンアウト(業績連動の追加対価)・表明保証違反による返還などは考慮していません。
  • 国民健康保険料など、譲渡所得の増加に伴って翌年度に上がりうる負担は含めていません。
  • 譲渡額の目安に入力する純資産と利益は、マイナスのまま入力できます。赤字なら利益はマイナス、債務超過なら純資産はマイナスです。0に置き換えると目安額が実態より高く出るため、そのままの符号で入力してください。

使用料率・出典

  • 非上場株式の譲渡益課税(申告分離課税)20.315%(所得税15%+付加税+住民税5%)
    適用開始日: 2013-01-01/最終確認日: 2026-08-13
    根拠は租税特別措置法37条の10第1項および復興財確法9条・13条です。
  • 概算取得費(取得費が不明な場合)譲渡収入の5%
    適用開始日: 2015-04-01/最終確認日: 2026-08-13
  • 退職所得の計算(控除額・2分の1課税・区分)20年以下40万円/年・20年超70万円/年・住民税10%
    適用開始日: 2022-01-01/最終確認日: 2026-08-13
    根拠は所得税法30条1〜7項、同施行令69条・70条、所得税法89条・201条、地方税法50条の3・50条の4・328条の3です。短期退職手当等(役員等以外で勤続5年以下・300万円超部分の1/2不適用)は令和3年度税制改正により、令和4年1月1日以後に支払われる退職手当等から適用されています。
  • 所得税の超過累進税率(退職所得に適用)5%〜45%の7段階
    適用開始日: 2015-01-01/最終確認日: 2026-08-13
    所得税法89条の超過累進税率を速算表(税率・控除額)の形で保持しています。45%の階層は平成27年分以後の所得に適用されます。退職所得については、この表を課税退職所得金額(1,000円未満切捨て)に適用します。
  • 役員退職給与の損金算入(功績倍率法)数値基準なし(倍率は入力値)
    適用開始日: 2017-04-01/最終確認日: 2026-08-13
    同通達の(注)は功績倍率法を「役員の退職の直前に支給した給与の額を基礎として、役員の法人の業務に従事した期間及び役員の職責に応じた倍率を乗ずる方法により支給する金額が算定される方法」と定義しています。数値は示されていません。
  • M&A仲介手数料の報酬基準額とレーマン方式の階層譲渡額/移動総資産額/純資産額(階層は一例)
    適用開始日: 2024-08-30/最終確認日: 2026-08-13
    この階層表はガイドラインが「【レーマン方式の一例】」として掲げるもので、直下に「※あくまで一例であり、各階層における価額・割合は各仲介者・FAにより異なる。」と注記されています。中小企業庁が定めた基準でも上限でもありません。レーマン方式を採らず一律割合や定額とするケースもあります。
  • 譲渡額の算定方法(純資産+数年分の利益)税引後利益又は経常利益等・通常1〜3年
    適用開始日: 2024-08-30/最終確認日: 2026-08-13
    ガイドライン本体は評価手法をコストアプローチ(簿価純資産法・時価純資産法)/マーケットアプローチ(市場株価法・マルチプル法)/インカムアプローチ(DCF法・収益還元法)に分類し、日本公認会計士協会「企業価値評価ガイドライン」を踏まえる旨を明記しています。中小M&Aでは時価純資産法で算定されるケースが多いとしています。
  • 付加税の内訳変更(2027年1月〜)復興1.1%+防衛1.0%(合計2.1%で変わらず)
    適用開始日: 2027-01-01/最終確認日: 2026-08-13
    同Q&AのQ1に「改正前後で、源泉徴収税額の計算方法に変更は生じません」と明記されています。e-Govの現行条文はまだ改正前(2.1%・令和19年まで)のままなので、条文だけを見ると改正を見落とします。

よくあるご質問

会社を売ったときの税金はいくらですか?

非上場株式を第三者に譲渡した場合、譲渡益に対して20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)です。給与所得や不動産所得と合算されない申告分離課税なので、累進税率の影響を受けません。譲渡益は「譲渡代金 −(取得費 + 譲渡費用)」で計算します。たとえば譲渡代金5億円・取得費不明(概算取得費2,500万円)・仲介手数料2,500万円なら、譲渡益は4億5,000万円、税額は9,141万7,500円です。ただし、発行会社に買い取ってもらう場合(自己株式の取得・金庫株)はこの特例の対象から除かれており、資本金等の額を超える部分がみなし配当として総合課税・累進税率になります。20.315%では計算できないため、第三者への譲渡と分けてお考えください。

取得費がわからない場合はどうなりますか?

譲渡による収入金額の5%を取得価額として計算していれば、これを認めて差し支えないという取扱いがあります(租税特別措置法関係通達37の10・37の11共-13)。適用の単位は銘柄ごとです。ただしこれは法令ではなく課税庁の取扱いであり、5%を使わなければならないという強制ではありません。実際の取得費がわかっていればそちらが優先します。相続で取得した株式は被相続人の取得費を引き継ぐため、それが判明していれば5%は使いません。設立時に出資した額や、過去に他の株主から買い取った額の資料が残っていないか、まず確認されることをおすすめします。取得費が大きいほど譲渡益が減り、税額も減ります。

M&A仲介手数料のレーマン方式で、5%というのは決まった料率ですか?

決まった料率ではありません。「5%」は中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」が例示として掲げる階層表の最下層(5億円以下の部分)に実在しますが、同じ頁が自ら「あくまで一例であり、各階層における価額・割合は各仲介者・FAにより異なる」と注記しています。基準でも上限でもありません。逆に「公的な基準はまったくない」と言い切るのも不正確で、「ガイドラインが例示として掲げる階層の一つ」というのが正確な言い方です。レーマン方式を採らず一律割合や定額とするケースもあります。ガイドラインは相場水準を示さない立場を取り、複数の仲介者・FAを比較検討することを求めています。

同じ料率なのに、会社によって手数料が大きく違うのはなぜですか?

報酬基準額の取り方が違うからです。ガイドラインは報酬基準額として「①譲渡額(譲受額)②移動総資産額③純資産額」の3つを挙げています。移動総資産額は主に譲渡額に負債額を加えた額なので、負債の多い会社では譲渡額を基準にする場合よりはるかに大きくなり、同じ報酬率でも支払額が跳ね上がります。本シミュレーターの初期値(譲渡額5億円・移動総資産額8億円・純資産額3億円)では、まったく同じ階層表を使っても手数料は1,500万円から3,700万円まで開きます。ガイドラインが最も強調しているのはこの点です。仲介契約・FA契約の締結前に、報酬率・報酬基準額・最低手数料の額・報酬の発生タイミングを書面で説明することが仲介者・FAに求められています。契約書のどの金額を基準にしているか、必ずご確認ください。

役員退職金を出すと手取りは増えますか?

増えることもありますが、出しすぎると逆に減ります。退職所得には大きな控除があり、原則として2分の1だけが課税対象になるため、少額のうちは株式譲渡益の20.315%より軽くなります。しかし退職所得には超過累進税率が適用されるため、金額が大きくなると税率が上がり、どこかで20.315%を上回ります。本シミュレーターの初期値(総額6億円・勤続30年)では、退職金3,000万円前後まではプラスに働き、1億8,000万円まで配分すると退職金なしの場合より手取りが減ります。最適な配分は勤続年数・退職所得控除・総額によって変わるため、配分を振った表でご確認ください。なお、退職金の損金算入によって法人税が減る効果は本試算に含めていません。

M&Aの直前に役員になって退職金を受け取れば節税になりますか?

なりません。役員等としての勤続年数が5年以下の場合、その退職金は「特定役員退職手当等」となり、2分の1課税が使えません(所得税法30条4項)。本シミュレーターの初期値と同じ1億円を勤続5年で受け取った場合、一般退職手当等なら税額は約2,251万円ですが、特定役員退職手当等では約4,993万円となり、2,741万円ほど重くなります。支給額に対する負担率は約50%で、株式譲渡益の20.315%を大きく上回ります。M&A直前の役員就任による退職金設計は、この規定によって封じられています。なお役員等以外で勤続5年以下の場合は「短期退職手当等」となり、控除後300万円を超える部分に2分の1が適用されません。

功績倍率3.0は国税庁が定めた基準ですか?

基準ではありません。法人税法施行令70条2号は、①その役員が業務に従事した期間、②退職の事情、③同種の事業を営み事業規模が類似する法人の役員に対する退職給与の支給の状況等に照らして「相当であると認められる金額」を超える部分が損金不算入になる、と定めているだけで、条文に「功績倍率」という語は登場せず、役位別の倍率も一切規定されていません。「功績倍率法」という語自体は法人税基本通達9-2-27の3の(注)に定義として実在しますが、この通達は功績倍率法による退職給与が業績連動給与に該当しないことを確認するもので、損金算入の限度額を定めるものでも、倍率の数値を示すものでもありません。国税庁・税務大学校の論叢も「役員給与の金額水準に何らかの基準があるわけではなく、機械的には測定し難い」と述べています。本シミュレーターが倍率を入力式にしているのはこのためです。算出額がそのまま損金算入されると断定することはできません。

会社の値段は「時価純資産+営業利益の3〜5年分」で決まるのですか?

その説明は公的資料と食い違います。中小企業庁の資料には「年買法」「年倍法」という語が一度も登場しません。記述としては「時価純資産法(又は簿価純資産法)により算定した純資産に、数年分の任意の利益を加算した金額を譲渡額とする場合もある」とあり、続けて「加算対象とする利益の種類(税引後利益又は経常利益等)及び年数(通常1年〜3年)は事例ごとに異なり、交渉によって決まるケースが多い」と明記されています。つまり利益の種類は営業利益と特定されておらず、年数も1〜3年です。本シミュレーターは既定を2年とし、1〜3年の3通りを並べて表示します。赤字の場合、加算する利益はマイナスなので、年数を増やすほど目安額は下がります。マイナスのまま入力してください(0に置き換えると目安額が実態より高く出ます)。なお評価額はあくまで目安の一つで、最終的に当事者が合意した金額が譲渡額になります。債務超過で純資産がマイナスになる場合は、この加算方式ではなく別の手法が用いられます。

2027年から税金が上がると聞きましたが、手取りは減りますか?

減りません。令和8年度税制改正により防衛特別所得税(所得税額の1%)が創設され、あわせて復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%へ引き下げられました。付加税の合計は2.1%のままなので、株式譲渡益の合計税率20.315%も、退職金にかかる上乗せも金額は変わりません。国税庁のQ&Aにも「改正前後で、源泉徴収税額の計算方法に変更は生じません」と明記されています。変わるのは内訳の表示だけです。本シミュレーターは基準日が2027年1月1日以後かどうかで内訳の表記を切り替えます。なお、この改正では復興特別所得税の課税期間が令和29年(2047年)12月31日まで10年延長されています。

PDFレポートには何が含まれますか?

画面では、3つの報酬基準額での仲介手数料の比較、譲渡益と税額の内訳、手数料と税金を引いた手取り合計をご覧いただけます。さらに詳細分析とPDFレポートでは、役員退職金への配分を振った手取り比較表(どこで累進により逆転するか)、退職手当等3区分の税額比較、功績倍率法による参考額、譲渡額の目安(時価純資産+利益1〜3年分)、レーマン方式の階層ごとの内訳、社内説明や専門家への相談に使えるPDFレポートを提供します。

ご利用上の注意

  • 本シミュレーターの結果は概算です。実際の税額・手数料は、契約内容と個別事情によって変わります。
  • 「レーマン方式の最下層5%」は、中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」が例示として掲げる階層表に実在します。ただし基準でも上限でもなく、同じ頁が自ら「あくまで一例であり、各階層における価額・割合は各仲介者・FAにより異なる」と注記しています。初期値として置いていますが、必ずご自身の契約書の数値に置き換えてください。
  • 「最低手数料2,500万円が業界標準」という数値については、公的な基準も統計も確認できませんでした。ガイドライン本文が示す具体例の最低手数料は300万円・500万円・1,000万円です。初期値の500万円もその一例にすぎません。
  • 功績倍率には法令・通達上の数値基準がありません。法人税法施行令70条2号に「功績倍率」という語は登場せず、会長3.0・社長3.0といった役位別の倍率も規定されていません。「功績倍率法」という語自体は法人税基本通達9-2-27の3の(注)に定義として実在しますが、損金算入の限度額を定めるものではなく、倍率の数値も示していません。本シミュレーターの算出額は参考であり、そのまま損金算入されると断定することはできません。
  • 「時価純資産+営業利益の3〜5年分」という説明は公的資料と食い違います。中小企業庁の資料には「年買法」という語が一度も登場せず、加算する利益は「税引後利益又は経常利益等」、年数は「通常1年〜3年」と記載されています。本シミュレーターはこの記述に従っています。
  • 評価額は譲渡額を決める際の目安の一つであり、当事者が最終的に合意した金額が譲渡額になります。債務超過の場合は純資産がマイナスになるため、別の手法が用いられます。
  • 報酬の水準について、ガイドラインは相場を示さない立場を取り、「複数の仲介者・FAを比較検討することが望ましい」としています。M&A支援機関登録制度のデータベース(ma-shienkikan.go.jp)で各社の算定基準を比較できます。
  • 株式譲渡の税務・M&Aの契約実務は、個別事情によって取扱いが大きく変わります。実行にあたっては必ず税理士・弁護士にご相談ください。