利益改善

1時間いくらで見積もる? 製造業の時間チャージレート

「この加工、1時間いくらで見積もればいいのか」。製造業でもっとも答えにくい問いです。よく聞く「3,000円から5,000円」といった相場については、公的な資料に基準として示されているものを確認できませんでした。適正なチャージは、設備の値段・耐用年数・自社が実際に動かせている時間・人件費・間接費で決まるため、同じ業種でも会社ごとに変わります。このシミュレーターは相場を使わず、設備1台ずつの費用と自社の稼働実績から、マシンチャージ・マンチャージ・見積チャージを組み立てます。

無料・登録不要/2026-08-13 時点の公的データで計算

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計算方法の概要

  • 操業可能時間 = 年間の稼働日数 × 1日の実働時間(設備1台あたり)
  • 有効稼働時間 = 操業可能時間 × 設備稼働率 ×(1 − 段取り時間の比率)
  • 年間減価償却費 = 取得価額 ÷ 法定耐用年数(定額法による概算)
  • マシンチャージ =(年間減価償却費 + 年間の設備関連費)÷ 有効稼働時間
  • マンチャージ = 直接作業者の年間人件費総額 ÷ 全設備の有効稼働時間の合計
  • 原価チャージ = マシンチャージ + マンチャージ
  • 販管費チャージ = 間接部門の年間販管費 ÷ 全設備の有効稼働時間の合計
  • 総原価チャージ = 原価チャージ + 販管費チャージ
  • 見積チャージ = 総原価チャージ ÷(1 − 目標営業利益率)。目標営業利益率は売価に対する率のため、足し算ではなく割り戻しになります。この見積チャージが、目標利益を確保するのに必要な最低受注単価です。
  • 実質の営業利益率 =(現在の実売単価 − 総原価チャージ)÷ 現在の実売単価
  • 有効稼働時間が0になる条件(稼働率0%・段取り比率100%・実働時間0など)では、割り算が成立しないためチャージを算定しません。

計算の前提条件

  • 金額はすべて税抜で入力・表示しています。
  • 減価償却費は定額法(取得価額 ÷ 法定耐用年数)で概算しています。税務上の償却限度額は「取得価額 × 定額法の償却率」で、償却率は耐用年数ごとに定められた値のため、端数の分だけずれます。決算書の減価償却費をそのまま使いたい場合は、その額を年間の設備関連費に含めて入力し、取得価額を0円としてください。
  • 直接作業者の年間人件費総額には、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の会社負担分(法定福利費)を含めて入力してください。ここが抜けると、マンチャージが1割以上低く出ます。
  • マンチャージと販管費チャージの分母は、全設備の有効稼働時間の合計です。1人で複数台を受け持っている場合、1機械時間あたりの人件費はその分だけ下がる形になります。
  • 稼働率は「操業可能時間のうち、設備が実際に動いていた割合」として扱っています。設備総合効率(OEE)のように性能や良品率まで含めた指標とは定義が異なります。
  • 段取り時間の比率は、稼働している時間のうち段取り替えに使われる割合として扱い、有効稼働時間から差し引いています。段取り費を別途請求している場合は0%にしてください。
  • 材料費・外注費・運賃は、加工時間ではなく個々の受注に紐づくため、チャージには含めていません。見積では別建てで加算してください。
  • すべての設備で稼働日数・実働時間・稼働率・段取り比率が同じであるものとして計算しています。設備ごとに条件が大きく違う場合は、設備を分けて複数回試算してください。
  • 実売単価による判定は、入力された自社の数字から定義上導かれる比較(原価を割っているか、総原価を割っているか、目標利益率に届くか)だけを行っています。外部の目安によるしきい値は設けていません。

使用料率・出典

  • 定額法による減価償却費取得価額 ÷ 法定耐用年数(概算)
    適用開始日: 2007-04-01/最終確認日: 2026-08-13
    「定額法の償却限度額=取得価額×定額法の償却率」と定められています。定額法の償却率は耐用年数ごとに定められた値であり、本シミュレーターが用いる「取得価額÷耐用年数」とは端数の分だけずれます。チャージの概算では影響が小さいため、割り算による概算を用いています。税務申告の金額をそのまま使いたい場合は、決算書の減価償却費を年間の設備関連費に含めて入力し、取得価額を0円としてください。
  • 法定耐用年数財務省令の別表による
    適用開始日: 2007-04-01/最終確認日: 2026-08-13
    「減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものです」「この使用可能期間に当たるものとして法定耐用年数が財務省令の別表に定められています」と説明されています。法定耐用年数は税務上の年数であり、設備を実際に使い続けられる年数とは一致しません。
  • 労務費の価格転嫁(水準は定められていない)交渉の進め方を示す指針
    適用開始日: 2023-11-29/最終確認日: 2026-08-13
    内閣官房と公正取引委員会が令和5年11月29日に策定し、令和7年12月26日に改正した指針です。発注者・受注者それぞれが採るべき行動を示すもので、加工賃や時間チャージの水準そのものを定めるものではありません。労務費の上昇分を価格へ反映する交渉の進め方について、公的な後ろ盾となる文書です。

よくあるご質問

時間チャージの相場はいくらですか?

公的な相場は確認できませんでした。国や公的機関が加工賃の時間単価の水準を示した資料は見当たりません。自社の費用構造から算出するしかありません。同じ加工でも、2,400万円の設備を使うか600万円の設備を使うかでマシンチャージは4倍変わり、稼働率が75%か50%かでチャージは1.5倍変わります。他社の数値と比べるのではなく、自社の原価を割っていないかで判断してください。

加工費は作業者の時給で見積もればよいのではないですか?

それでは足りません。時給には、設備の減価償却費・修繕費・工具費・電力動力費・設置面積の家賃、段取りで加工していない時間、事務や営業といった間接部門の費用が含まれていないためです。本シミュレーターの初期値では、マンチャージが5,000円に対して見積チャージは10,000円になります。つまり時給だけで見積もると、必要な単価の半分で受注することになります。さらに、時給をそのまま使うと「1人で2台動かしている」ことも「段取りに2割使っている」ことも数字に表れません。

稼働率は何%で計算すればよいですか?

自社の稼働記録から求めてください。公的に定められた計算上の標準稼働率は確認できませんでした。求め方は「実際に設備が動いていた時間 ÷ 操業可能時間」です。記録がない場合は、受注の薄い月と厚い月の両方で試算し、幅として把握することをおすすめします。稼働率はチャージにそのまま反比例します。初期値の条件では、稼働率が5ポイント落ちるだけで見積チャージが714円上がります。忙しさが変わっただけで原価が変わる、という点がチャージレートの難しさです。

段取り時間はチャージに入れるべきですか、別に請求すべきですか?

どちらでも構いませんが、二重に扱わないでください。段取り費を別途請求している場合は、段取り時間の比率を0%にしてください。段取りを請求せず加工賃に含めている場合は、実績の比率を入力してください。段取りを請求もせず比率も0%にすると、その時間の費用がどこにも乗らないため、見積は必ず不足します。ロットが小さい仕事ほど段取りの比率が上がるため、小ロットと量産で同じチャージを使うと小ロットが赤字になります。

法定福利費はどこに入れればよいですか?

直接作業者の年間人件費総額に含めてください。健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の会社負担分と、賞与・退職給付費用も同じ欄に含めます。給与の額面だけを入力すると、実際の負担より低いマンチャージになります。なお、労務費の上昇分を価格へ反映する交渉については、内閣官房と公正取引委員会が「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表しています。金額の水準を定めるものではありませんが、交渉の進め方について公的な後ろ盾になります。

償却が終わった設備のチャージは下げるべきですか?

公的な決まりはありません。会計上は減価償却費が計上されなくなるため、その分だけマシンチャージは下がります。実際に発生している費用だけを回収するという考え方では下げることになりますが、同額を更新のための積立と読み替えて据え置く考え方もあります。据え置く場合、積立額の根拠は取得当時の価額ではなく、いま同等の設備を導入したらいくらかで見直してください。また、古い設備は修繕費・不良率・段取り時間が増えていることが多く、減価償却費が消えた分がそのまま利益になるとは限りません。さらに詳細分析とPDFレポートでは、下げた場合と据え置いた場合の両方の数字を並べています。

設備ごとにチャージを分けるべきですか、工場全体で1つにすべきですか?

設備の価格差が大きいなら分けたほうが実態に合います。本シミュレーターの初期値では、マシニングセンタの見積チャージが10,833円、NC旋盤が9,167円と1,600円以上の差が出ます。工場全体で1つのチャージにすると、高価な設備を使う仕事は安く、安い設備を使う仕事は高く見積もることになり、前者ばかり受注が集まると利益が痩せます。一方で、設備をまたいで流れる仕事が多く事務負担が重い場合は、全体平均で運用したうえで高額設備の仕事だけ個別に確認する、という運用も現実的です。

PDFレポートには何が含まれますか?

画面では、有効稼働時間の計算過程、マシンチャージ・マンチャージ・販管費チャージ・見積チャージ、稼働率が5ポイント落ちたときの上昇額、現在の実売単価が原価を割っていないかの確認、その単価のまま黒字にするのに必要な稼働率をご覧いただけます。さらに詳細分析とPDFレポートでは、設備別のチャージ一覧、稼働率別の感応度表、目標利益率別の見積チャージ、償却が終わった設備のチャージと更新積立の考え方、チャージに含める費目の整理、取引先への説明や社内の見積基準づくりに使えるPDFレポートを提供します。

ご利用上の注意

  • 本シミュレーターの結果は概算です。
  • 時間チャージの水準について、国や公的機関が相場や基準を示した資料は確認できませんでした。「3,000円から5,000円」といった数値は民間で広く使われている経験則です。本シミュレーターは相場による判定を行わず、入力された自社の費用構造からのみ算出しています。
  • 「稼働率は80%で計算する」という前提にも、公的な裏付けを確認できませんでした。初期値は入力例であり、標準値ではありません。自社の稼働記録から求めた値を入力してください。
  • 減価償却費は定額法による概算です。定率法を採用している設備、少額減価償却資産の特例を適用した設備、中古資産の簡便法による耐用年数を用いている設備では、実際の償却費と差が出ます。
  • 償却が終わった設備のチャージを下げるか据え置くかについて、公的な決まりはありません。本シミュレーターは両方の数字を並べるにとどめ、どちらかを推奨していません。
  • 実際の価格交渉・原価計算にあたっては、顧問税理士や中小企業診断士にご相談ください。