利益改善
この赤字店舗、続けるべきか閉じるべきか
赤字の店舗を続けるか閉じるかは、決算書に出ている店舗別の営業利益では判断できません。そこには本部費の配賦のように、その店を閉めても消えない費用が含まれているからです。判断に使うのは、閉めれば消える費用と、閉めれば消える売上だけです。このシミュレーターは限界利益と貢献利益を分けて計算し、埋没原価を除いたうえで、継続と撤退で全社の利益がいくら変わるかを出します。あわせて撤退一時コストから「あと何ヶ月で撤退のほうが得になるか」という損切り分岐点も計算します。
無料・登録不要/2026-08-13 時点の公的データで計算
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計算方法の概要
- 限界利益 = 月商 − 変動費(月商 × 変動費率)
- 貢献利益 = 限界利益 − その店舗の個別固定費(閉めれば消える固定費)
- この2つは別のものです。撤退判断の主役は貢献利益のほうです。なお「貢献利益」を限界利益と同義で使う文献もあるため、本シミュレーターでは個別固定費を引いた後の額を指すものとして扱います。
- 本部費の配賦・共通システム費など、閉めても消えない費用は埋没原価として判断から除きます。除いた金額は結果に明示します。
- 撤退後に全社へ残る利益 = 月商 × 他店へ移る売上の割合 × 他店の限界利益率
- 月次差額 = 貢献利益 −(撤退後に全社へ残る利益)。プラスなら続けるほうが全社の利益は大きくなります。
- 損切り分岐点 = 撤退一時コスト ÷ 撤退によって止まる月次損失。「あと何ヶ月続けると、撤退一時コストと同じ額を失うか」を表します。
- 累計損益が逆転する月 = 解約予告期間 + 損切り分岐点。解約を申し入れても、予告期間が終わるまでは固定費が止まらないためです。
- 貢献利益をゼロにするのに必要な売上増 = 貢献利益の不足額 ÷ 限界利益率。必要な変動費削減額は不足額と同額です。
- 撤退によって止まる損失がない場合(続けるほうが全社の利益が大きい場合)、損切り分岐点は算定しません。
計算の前提条件
- 金額はすべて税抜・月額で入力してください。撤退一時コストのみ一時金額です。
- 変動費は売上に比例し、個別固定費は売上が変わっても一定であるという前提で計算しています。実際には人員を減らすと段階的に下がる費用もあります。
- 「閉めれば消える固定費」と「閉めても消えない費用」の切り分けは、利用者の入力に従います。この切り分けが結果を大きく左右するため、本部費の中に本当にその店の分だけ減る費用が含まれていないか、逆に個別固定費に見えて他店へ振り替わるだけの費用がないかをご確認ください。
- 他店へ移る売上は、他店の固定費を増やさずに受け入れられるものとしています。他店に余力がない場合は過大な見積もりになります。
- 解約予告期間中は、これまでどおり営業して同じ損益が発生し、期間が終わった月に撤退一時コストが一括で発生するものとしています。
- 撤退一時コストは金額を入力していただくもので、こちらで人数や単価から推定することはありません。解雇予告手当も同様です。
- 返還される保証金・敷金は、資産が現金に戻るだけなのでコストに含めません。返還されない部分(敷引き・償却)と、原状回復費として差し引かれる見込み額だけを入力してください。
- 撤退によって空いた人員・資金・経営者の時間を他に振り向けた場合の効果は含めていません。実際にはこれが撤退の最大の利点になることもあります。
- 税務上の損金算入の時期、消費税の取扱い、繰越欠損金への影響は含めていません。
使用料率・出典
- 限界利益・損益分岐点の考え方(変動費と固定費の区分)算式の定義適用開始日: 2004-01-01/最終確認日: 2026-08-13損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)。目標利益を織り込む場合は(固定費 + 目標利益)÷(1 − 変動費率)。安全余裕率の定義は同機構のビジネスQ&A(https://j-net21.smrj.go.jp/qa/financial/Q0240.html)に「(売上高 − 損益分岐点売上高)÷ 売上高 × 100%」として示されています。
- 解雇の予告(解雇予告手当)30日前の予告または平均賃金30日分以上適用開始日: 1947-09-01/最終確認日: 2026-08-1230日前の予告、または平均賃金30日分以上の解雇予告手当が必要。ただしこれは手続上の最低限であり、解雇そのものの有効性は労働契約法16条により個別に判断される。
- 事業用建物の中途解約・解約予告契約による(法定の中途解約権なし)出典: e-Gov法令検索 借地借家法適用開始日: 1992-08-01/最終確認日: 2026-08-12借地借家法は用途を限定せず建物賃貸借一般に適用されます。居住用に限定されている規定は第38条第7項のみです。
- 保証金・権利金の税務上の取扱い返還される部分は資産/返還されない部分は繰延資産適用開始日: 2007-04-01/最終確認日: 2026-08-12法人税法施行令第14条第1項第6号ロ・第64条第1項第2号・第134条、法人税基本通達8-1-5・8-2-3、消費税法基本通達5-4-3。個人事業主も所得税法施行令第7条第1項第3号ロに同趣旨の規定があります。
よくあるご質問
何期連続で赤字になったら撤退すべきですか?
年数や回数で撤退の時期を定めた公的な基準は確認できませんでした。「3期連続赤字」「3ヶ月連続の営業赤字」といった数値は広く使われていますが、法令にも公的統計にも裏付けを確認できていない民間の経験則です。赤字が何年続いたかは、これから先の損得とは直接関係がありません。判断できるのは、続けたときにこの先いくら失うか、閉じたときに一度だけいくらかかるか、という2つの比較です。本シミュレーターはその形でお示しします。
限界利益と貢献利益は何が違うのですか?
限界利益は「売上 − 変動費」で、売上1円のうち固定費の回収に回せる額です。貢献利益はそこからさらに「その店舗の個別固定費」を引いた額で、その店が全社の利益にいくら上乗せしているかを表します。個別固定費とは、店を閉めれば消える固定費(その店のスタッフ人件費・家賃・水道光熱費・リース料など)です。撤退判断で見るべきは貢献利益のほうです。限界利益だけを見ると家賃や人件費の重さを見落とします。なお「貢献利益」という語を限界利益と同じ意味で使う文献もあるため、本シミュレーターでは定義を明示したうえで、個別固定費を引いた後の額として計算しています。
店舗別の営業利益が赤字なら、閉めたほうがよいのではないですか?
そうとは限りません。店舗別の損益計算書には本部費の配賦が含まれていることが多く、これはその店を閉めても全社としては発生し続けます。配賦後の営業利益が赤字でも、貢献利益がプラスであれば、その店は全社の利益に貢献しています。閉じると配賦されていた費用は他の店に振り替わるだけで、全社の利益はむしろ減ります。既定値の例では、月50万円の赤字に見える店舗のうち40万円は閉めても消えない配賦費用で、実際に消える損失は月10万円です。
撤退一時コストには何を入れればよいですか?
リース解約金・残債、原状回復工事費、返還されない保証金(敷引き・償却)、内装や什器の除却損、解雇予告手当・退職金、在庫の処分損や移送費などです。契約書と直近の帳簿でご確認ください。事業用の賃貸借では原状回復の範囲が特約で広く定められていることが一般的で、国土交通省の原状回復ガイドラインは民間賃貸住宅を対象としたものなので店舗には適用されません。工事費は見積もりを取ってから入力されることをおすすめします。返還される保証金は、資産が現金に戻るだけなのでコストには含めません。
解雇予告手当はいくらになりますか?
労働基準法第20条は、労働者を解雇しようとする場合に少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払うことを求めています。予告の日数が30日に満たない場合、その不足日数分の平均賃金が必要です。金額は人数と平均賃金によって変わるため、本シミュレーターでは推定せず、算出した金額を入力していただきます。なお、予告手当を支払えば解雇できるという意味ではありません。解雇そのものの有効性は労働契約法第16条により個別に判断されるため、必ず社会保険労務士・弁護士にご相談ください。
損切り分岐点とは何ですか?
撤退一時コストを、撤退によって止まる月次損失で割った月数です。「あと何ヶ月続けると、撤退にかかる一時コストと同じ額を失うか」を表します。この月数より長く続ける見込みであれば、いま閉じたほうが累計では有利になります。逆に、それより短い期間で立地の再開発や契約満了が控えているなら、そこまで続けたほうが有利です。なお実際に累計が逆転するのは、これに解約予告期間を足した月になります。解約を申し入れても、予告期間が終わるまでは家賃などの固定費が止まらないためです。
他店へ移る売上の割合は、どう見積もればよいですか?
正確に知る方法はありません。近くに自店がある場合は一定割合が移りますが、商圏が重ならなければほとんど移りません。会員データがあれば、複数店舗を利用している顧客の比率が手がかりになります。分からない場合は0%として計算し、そのうえで「何%移れば結論が変わるか」をご覧ください。本シミュレーターは、撤退が有利になる移転率を逆算してお示しします。移った売上を他店が受け入れる余力があるかも合わせてご確認ください。
PDFレポートには何が含まれますか?
画面では、限界利益と貢献利益を分けた損益の構造、埋没原価として除外した金額、継続と撤退の月次差額、撤退一時コストの合計、損切り分岐点、貢献利益をゼロにするのに必要な売上増と変動費削減額をご覧いただけます。さらに詳細分析とPDFレポートでは、継続・即時撤退・ようすを見てから撤退の3シナリオについて24ヶ月の累計損益の推移と逆転する時点、売上が回復した場合の判定の変化、撤退一時コストの内訳明細(各費目が損失の何ヶ月分にあたるか)、撤退一時コストの洗い出しチェックリスト、社内説明や金融機関への説明に使えるPDFレポートを提供します。
ご利用上の注意
- 本シミュレーターの結果は概算です。差額原価という一つの側面から見た金額であり、これだけで撤退を決められるものではありません。
- 撤退の時期を定めた公的な基準は確認できませんでした。「3期連続赤字なら撤退」「3ヶ月連続の営業赤字で撤退を検討」といった年数・回数の数値は、法令にも公的統計にも裏付けを確認できていない民間の経験則です。本シミュレーターはこれらを判定に一切使わず、貢献利益と撤退一時コストという定義上必ず正しい軸だけで判定しています。
- 従業員の雇用と生活、取引先との関係、その地域での顧客との関係、店舗網としての価値、撤退後に同じ立地へ再出店することの難しさは、いずれも金額に表れません。最終的な判断は経営者ご自身のものです。
- 解雇には労働契約法第16条による有効性の判断が別にあり、予告手当を支払えば自由に解雇できるという意味ではありません。人員に関わる判断は、配置転換の可能性を含めて社会保険労務士・弁護士にご相談ください。
- リース契約・賃貸借契約の中途解約の条件は契約書によって大きく異なります。実際の金額は契約書と貸主・リース会社への確認によって把握してください。
- 税務上の取扱い(除却損の計上時期、原状回復費用の資産計上の要否など)については、顧問税理士にご相談ください。